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日記・雑記・思いつき

フロム・ヘル

フロム・ヘル 上フロム・ヘル 上
(2009/10/10)
アラン・ムーア

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フロム・ヘル 下フロム・ヘル 下
(2009/10/10)
アラン・ムーア

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2001年にジョニー・デップ主演で公開された切り裂きジャックを題材にした映画「フロム・ヘル」の原作コミック。
原作ライターは当ブロブでもすっかりおなじみ、アラン・ムーアです。

かの有名な切り裂きジャック事件をコミック界の奇才アラン・ムーアが描くというだけでも、「ふぅ、やれやれだぜ」という気分にさせてくれる作品。
と言っても、アラン・ムーアの完全な独創のストーリーではなく、過去100年以上にわたって出版された様々な切り裂きジャック研究本を読みあさり、フリーメイソンやら当時の著名人やらイギリスの歴史やら幽霊騒ぎやらをぶち込んで、その中から紡ぎだされたアラン・ムーア流の解釈をコミックとして楽しめるようにまとめあげたという代物。
重苦しい雰囲気の続くストーリーですが、第十四章のラストで得られる一服の爽快感がいいですね。
Watchmen、V For Vendettaなんかもそうですが、ここいら辺のアラン・ムーア作品は巨大な悪の前にヒーロー的役回りの登場人物達が敗れ去ろうとも、必ずその悪の目を盗んで希望は生き続けていて、ラストはその希望の種が芽吹いたところで終わるんですよね。
いかに小難しいセリフを並べ重厚なストーリーを描いていても、そこにやっぱりこの人が描いているのはコミックなんだなという妙な納得があります。

それにしてもこの上下巻、分厚い。
そして何?このやたら豪華な装丁は。
1冊2600円というと翻訳コミックとしては決して高い方ではないとか思っちゃいましたが、よく考えるとこれ中身は白黒なんだからフルカラーコミックと同列に考えちゃダメですよね。
そう思うとやっぱり少々高い値段な気もしますが・・・、まぁジャイブに比べれば随分と頑張った値段設定で十分良心的と言えるでしょう。

映画版は見たことないんですが、どれだけ劣化したのか一度見てみるのもいいかも。
ジョニー・デップ主演ということは、そこそこのファンがいるじゃないかという気もしますし。
それにしてもアバーラインが主人公とは、それだけで随分とひどい改編だなぁ。

原作については、正直巻末解説を読まないと意味不明な描写が多々ありました。
まぁ、またぞろいろんな伝承や史実から拾ってきたことを描写してるんだろうなーと思いながら読み流してましたが。
アラン・ムーアによる巻末解説は長くひたすら長く、読書速度の遅い僕にはそれだけでコミックより読むのに時間がかかるんじゃねーかってほどでしたが、そういう判らなかったところちゃんとフォローしてくれるには十分なものがありました。
まぁ、わかったところで「へぇ~」ってだけのことなんですけどね。
たぶんこれ、切り裂きジャック事件のことを名前しか知らない人間よりも、興味をもって本の1冊も読んだことある人の方が楽しめると思います。
「実在のあの人物がこんな役回りで!」とか「なるほど、ムーアはこの解釈をとったか」とか。
ちょうど先頃「エンバーミング」で切り裂きジャック事件を扱った和月先生などは、このフロム・ヘルを物凄く楽しめるんじゃないかと。

個人的には切り裂きジャック事件というメジャーなものを取り上げてることから、アメコミファン向けだったWatchmenなどよりも一般読者向けという印象を受けました。
アメコミに興味ない人にどれか1作品奨めるなら、これかなと。

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